富士山の天然水を使った色鮮やかな染色
富士山の天然水を使った染色は、山梨ハタオリ産地ならではの色鮮やかな生地を生み出します。富士山に降った雨や雪が地中深く浸みこみ、雄大な自然のフィルターによって長い時間をかけて磨き上げられた恵みの天然水。この天然水は硬度(こうど)も低く、水の中に染色を邪魔する物質が少ないため、色鮮やかな染色をすることができます。
糸から染める先染め
富染色方法には三つの方法があります。製品染め、生地染め、糸から染める先染めです。山梨ハタオリ産地では三つの中で最も手間と時間のかかる先染めを主な染色方法として行っています。染め分けられた経糸と緯糸を使うことで、経糸と緯糸の色が混じり合い、先染め織物ならではの高級感のある色と質感が生まれます。
きめ細かく上質な質感は、
扱いの難しい細い糸
細番手、つまり細い糸を使うことで、軽くて薄くきめ細かな生地が生まれます。しかし、織物を作る際の糸の扱いは細ければ細いほど難しくなってきます。手織りで生地を織っていた時代、山梨ハタオリ産地は天然繊維の中でも最も細い繊維でできた絹糸を使った高級織物産地として栄えてきました。その技術は今も受け継がれており、細い絹糸はもちろんの事、織ることの難しい糸の扱いに長けた織物産地として発展してきました。
色柄を緻密に織り上げる高密度の織物
細い経糸と緯糸を多く使うことで、鮮明に色と柄を出すことができます。先代の知恵と技術を継承し、数千本から多いものでは一万本以上の経糸を使い、プリント生地では表現できない山梨ハタオリ産地だからこそ生み出すことのできる色柄の立体感と高級感のある織物が特徴です。
量より質の小ロット生産
山梨ハタオリ産地は家族経営の小さな織物工場が大部分を占めているため、小回りの良さをいかして少ない量の発注もこなし、丁寧に大切に織り上げることを得意としています。良い物を長く使っていきたいと考える消費者が多くなってきた現代は、このハタオリマチのスタイルとマッチしていると言えるのではないでしょうか。山梨ハタオリ産地は小ロット生産が可能とする、量より質を形にする織物産地です。
多種多様な織物が生まれる産地
山梨ハタオリは細番手、高密度で織り上げる難度の高い織物を得意としてきた産地です。そのため、多様なニーズへの対応力が高く、今ではネクタイ生地、インテリア生地、裏地、傘地、ストール、服地などのスペシャリストが生まれています。